「成年後見人」とは。
「成年後見人とは?」後見人の役割と課題手続きについても詳しく解説したいと思います。
判断能力の不十分な者を保護する立場の人のことを「成年後見人」と言います。
- そもそも成年後見人制度とはどのような経緯から生まれたのでしょうか。
- この成年後見人制度は
- ドイツの世話法やイギリスの持続的代理権授与法を参考にして
- 2000年の4月から禁治産・準禁治産制度に変わって設けられたことに始まります。
法務省において成年後見問題研究会が発足し、成年後見制度の導入が検討されました。
- 成年後見人制度の導入時期決定のきっかけとなったのが「介護保険制度」とも言われています。
なぜなら、行政処分としての「措置制度」から、受益者の意思決定を基本的には尊重できる「契約制度」へと移行が検討されていたからです。
いわゆる「措置から契約へ」と呼ばれています。
介護サービスについて
- 介護保険制度のもとで利用者とサービス提供事業者の間の契約によるものとされることとなり
- 認知症高齢者などは契約者としての能力が「欠如している」などの理由から
- 契約という法律行為を支援する方法を制定することが国にとっても急務となっていました。
こうした経緯から、「車の両輪」と言われ、介護保険制度と成年後見人制度を象徴しています。
2010年頃の統計によると、後見人の担い手のほとんどは家族や親族が占めており約58.6%(16,758人)となっています。
職業後見人として選定されている司法書士も増加しており、弁護士や社会福祉士などについても近年増加傾向となっています。
成年後見人の役割としては主に、本人の意思を最大限に尊重することが求められています。
そして、本人の心身の状態や生活状況について配慮を行いながら、代理行為を行っていくことが必要になります。
- また、本人の財産を適正に管理していくことも求められます。
具体的には本人のために、診療や介護及び福祉サービスの利用契約を代理で結びます。
また、本人の預貯金の出し入れや不動産管理なども成年後見人が担うことになります。
成年後見人制度の課題として、日本での利用がまだまだ進んでいない現状があります。
成年後見人制度の申し込み件数は年々増加していますが、認知症高齢者だけでも約170万人いることを考えると、利用はまだまだ低調と言えると思います。
「顔の見える制度」として一般市民に十分理解されていない現状も多くあり、申立人を探すのも一苦労といった状況で、利用が進まない原因の一つともなっています。
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